【門真市】「うどん屋」か「模型店」運命を決めた木刀占いで一坪半から始まったフィギュアメーカー「海洋堂」。イズミヤ門真店３階の「海洋堂ホビーランド」はクリエイターの聖地！

2021年６月にイズミヤ門真店の３階にできた、「海洋堂ホビーランド」に皆さんは行ったことがありますか？前からずっと気になっていたスポットです。

いろんな作品を展示しているだけの所だと思っていたのですが、大きな誤解でした。そこは造形集団「海洋堂」の歴史や創業者、館長こと宮脇修氏の大胆な行動力や生き様に刺激を受ける、大変興味深い場所でした。

そんなクリエイターの聖地の入り口はこちら。

館長が３６歳の時、息子さん（現・海洋堂センム）の小学校入学を機に、それまで３０種類以上もの仕事を転々と渡り歩いてきた館長でしたが、定職につくことを決めたそうです。そのときに人生の方向性を決めたのが木刀占い。天井からぶら下がった木刀の紐をチョキンと切って、木刀が倒れた方角が東西なら「うどん屋になる」、南北なら「模型屋になる」というシンプルな占いです。その決め方、親や奥さんは納得したんでしょうか…。

そして倒れた木刀が差した方角が南北の「模型屋」だったのが海洋堂の始まり。

今の京阪土居駅付近に開業した、一坪半の小さなお店が出発点です。看板はその時々の章句やうたい文句、今でいうキャッチコピーみたいなものを頻繁に自分で書き換えていたそうです。SNSのない時代でも、看板を使って随時発信するところがすごい…。

ここに積んであるのは館長やセンムが集めた秘蔵のプラモデル。ちゃんと中身も入っているそうですよ。子供たちが作った船や潜水艦で遊べる場所を作ろうと、一坪半の店を改築して店の中に船を浮かべられる模型用プールを作ったそうです。その規模、店内の３分の２…。

また、戦車を走らせるためのジオラマを作りました。しかもリアルな戦場の再現にこだわり、爆竹まで仕込んだそうですよ。その甲斐あって、戦車の売り上げ日本一を樹立。世界一のスロットレーシングコースも作られたそうです。

クリエイターとしての一面をお持ちの館長さん。息子さんであるセンムが中学生になる頃には彼に店を任せ、帆船作りに情熱を注いでいたそうです。

ブロンズ技法という、鉄のように見せる塗装を施し、館長が作った帆船は市のコンテストに入選しました。

しかし、素材がプラモデルということで、一度入選が取り消されたものの、絵を描くキャンバスが必要であるものと同様に、プラモデルもキャンバスである！と異論をはねのけ、取り消しが撤回されたそうです。ここからプラモデルのアート化、アートプラ思想が生まれたそうです。

また、クリエイターの育成もしっかりやっていたのが館長のすごい所です。

当時型をとるのに主流だったバキュームフォームに変わって、ガレージキットが誕生しました。きっかけは、海洋堂に通う造形狂の若者たちの中にいた、歯科技工士の方のアドバイス。歯の型を取るのと同じ手法を用いて、小規模で作れて少数でも生産が可能な「ガレージキット」が誕生したそうです。ここにいた若者の中には現在も造形師として活躍されている方もいるんです。